皆さんは、普段からどれくらい本を読みますか?
この記事を読んでいる方の中には、本が大好きで、月に何冊も読んでいるという方もいるかもしれません。
ただ、世の中全体で見ると、やはり時代の流れとともに読書量は減少傾向にあるようです。
この記事では、2023年度に行われた国の読書調査をもとに、最近の日本人の読書実態を紹介します。
また、読書することで得られる効果、読書習慣をつくるコツについても触れているので、皆さんの読書熱を高める一助になれば幸いです。
- 日本人の読書実態に関する情報を集めている人
- 読書をすることのメリット・効果を知りたい人
- 本に触れる機会や読書習慣を作りたいと考えている人
読書離れが進む現代社会
デジタルデバイスが普及し、日々の情報収集方法が変化する中で、読書を取り巻く環境も大きく変わってきました。
スマホやパソコンが主要な情報源となり、書籍に触れる機会が減っている現代社会では、「読書離れ」という現象がますます広がっています。
では、私たちがどのように本と向き合い、読書の重要性を見直すべきか、その背景を一緒に探っていきましょう。
日本人の読書実態
まずは、現代における日本人の読書実態について見ていきましょう。
文化庁が発表した「2023年度の国語に関する世論調査」(2024年9月17日発表、全国16歳以上の6000人に調査し、3559人が回答)によると、「1か月に1冊も本を読まない人(※)」の割合が62.6%となりました。
出典:文化庁 「国語に関する世論調査(令和5年度「国語に関する世論調査」の結果について)」
この調査は5年おきに実施されていますが、「1冊も読まない」人が全体の半数を超えたのは今回が初めてだったそうです。
【補足】
電子書籍を普段「利用する」と答えた人は40.3%で、前回調査(2018年度)よりも15.1ポイント増加。
また、「紙の本と電子書籍のどちらを利用することが多いか」という質問には、48.4%の人が「電子書籍」と回答。前回より13.9ポイント増えています。
読書量が減っている理由
1か月に1冊も本を読まない人が6割超という結果は、本を日常的に読む人にとっては驚きの事実かもしれません。
では、なぜ読書量が減っているのでしょうか?
先ほど紹介した国語に関する世論調査では、本を読まない理由として、以下のような結果が出ています。
- 情報機器(携帯電話、スマートフォン、タブレット、パソコン、ゲーム機等)で時間が取られる:43.6%
- 仕事や勉強が忙しくて読む時間がない:38.9%
- 視力など健康上の理由: 31.2%
- テレビの方が魅力的である:19.8%
やはり大きな要因には、パソコン・スマートフォンをはじめとするデジタルデバイスの普及があるようです。
手軽に情報を得られる環境が整った現代では、長時間をかけて本を読む習慣が薄れてきているのだと考えられます。
さらに、ゲームなど娯楽の種類・楽しみ方が広がっていることも、読書以外に目を向ける人が増えている一因となっているのでしょう。
また、仕事や勉強に追われ、読書の時間を確保するのが難しいという生活習慣の変化なども、本をあまり読まない要因になっていることがわかります。
有名人や成功者が語る「読書の大切さ」
日本人全体の読書量が減っている一方、ビジネスパーソンや各界のリーダーなど、積極的に多くの本に触れる習慣を持つ人も少なくありません。
実際、読書が人の人生にどれだけ大きな影響を与えるかを語るとき、成功者たちのエピソードがよく引き合いに出されます。
ここでは、ビジネスリーダーや著名な人物たちが語る「読書の力」と、その読書傾向についてご紹介します。
成功する人の読書傾向
成功者や著名人は、読書を日々の生活の中で大切にしている人が多いです。
ビジネスリーダーや起業家、一流スポーツ選手など、さまざまな分野で活躍する人々が「読書こそが成功の秘訣」「本からいろいろなものを得た」といったことを語っています。
たとえば、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツは、1年間で50冊以上の本を読むと言われています。彼が読む本のジャンルは、ビジネス書だけでなく、歴史や科学、フィクションにも及ぶのだとか。
ビル・ゲイツが残している読書に関する名言を紹介します。
「学ぶことをやめるまで、本当に年を取り始めることはない。すべての本は私に何か新しいことを教えてくれたり、物事の見方を変えたりするのに役立つ。読書は世界への好奇心を刺激し、それが私のキャリアや仕事を前進させる力になった」
「イーロン・マスクやビル・ゲイツは「読書の鬼」、知識の幅を武器にした天才たち」
なお、彼は年に2回ほど休暇を取ってひとりで別荘にこもり、「読書」や「考えること」に費やす週を作っていたという話も有名です。
また、アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズも、仏教関連の本や自己啓発の本を愛読していたと言われています。
役職が高い人ほど本を読むというデータも
日経BPと日経BPコンサルティングの調査によると、1週間に1冊以上書籍を購入する人の割合は、一般社員が10.8%に対し、経営系の人は18.3%となっています。
参考:日経BOOK PLUS「経営者の約2割が週に1冊本を購入 5年後の自分をつくる本」
「役職が上がるほど、学ぶために本を多く読むようになる」のか、それとも「本を読むから仕事でも成果が出やすくなる」のか…。
どちらにせよ、成功者たちは幅広い分野の知識を読書で吸収し、それをビジネスや人生に役立てているのでしょう。
読書で得られる効果
時代の流れによって読書量が減っている現代ですが、読書を通じて得られるものは、実は「知識の習得」以外にもたくさんあります。
ここからは、読書で得られる具体的な効果をいくつかご紹介します。
脳の活性化
読書は、脳にとって良いトレーニングになります。本を読む際、私たちの脳は文字を解釈し、意味を理解し、内容を記憶するなど、さまざまな作業を行っています。
また、物語を想像し、登場人物の心情を理解する過程で、私たちの思考力や想像力が磨かれます。
東北大学教授の川島隆太氏は、「活字を読むことが非常に強い脳のトレーニングになる」と語っています。
読書は脳全体を使う活動であり、本を読むと、とくに言語能力に関連する「ブローカ野」や「ウェルニッケ野」、また記憶との関連性が強い「前頭前野」といった部位が活発に働くのだそうです。
参考:産業能率大学 総合研究所「東北大学 川島隆太教授 インタビュー「読む&書く」からこそ学びは深くなる」
子どもの読書は、その後の脳の発達・成長にも非常によい影響をおよぼすと言われますが、大人になってからも脳を活発に働かすことで、頭の回転が速くなるのだとか。
ストレス軽減
忙しい日々の中で、読書は心を落ち着かせる時間を提供してくれます。
英国・サセックス大学が、さまざまな活動のストレス軽減度を調査したところ、以下のような結果が出たそうです。
- 音楽鑑賞:61%
- コーヒーを飲むこと:54%
- 散歩:42%
- ゲーム:21%
- 読書:68%
なんと、読書が最も高水準となっています。
なお、読書でストレスレベルを下げるポイントは、とにかく本に没頭することだそう。
ジャンルは問わず、本の世界にどっぷりつかることでストレスが軽減されるというのは、とても興味深いですね。
できればカフェや公園など日常の喧騒から少し離れ、物語や知識の世界に没入することで、より大きなリラックス効果が得られそうです。
知識の獲得
読書を通じて、新しい知識や情報を得ることは、人生をより豊かにしてくれます。
ノンフィクションの本であれば、ビジネススキルや歴史、科学など、さまざまな分野の知識を吸収できますし、フィクションを読むことで文化や人間関係に対する深い洞察を得ることもできます。
広い視点を持ち、多様な教養を身につけることで、日常の会話や問題解決にも役立ちます。
共感力・感情理解力の向上
特に小説や物語を読むと、登場人物の感情や状況に共感する機会が増えます。
さまざまな立場や背景を持つキャラクターに感情移入することで、他者の気持ちや考え方に対する理解力が高まり、共感力が育まれます。
共感力は、現実の人間関係においても、コミュニケーションを円滑にとり、他者と良好なつながりを築いていくための大事な能力です。
長期的な記憶力の向上
本を読み進める過程で、登場人物やストーリーの展開、情報を記憶することが求められます。この繰り返しが、脳の記憶力を鍛えるトレーニングとなります。
また、読んだ内容を復習したり、他人に説明することで、記憶が定着しやすくなります。
記憶力は年齢とともに低下しがちですが、読書を続けることで、その衰えを防ぐ効果が期待できます。
集中力と持続力の向上
スマートフォンやインターネットの普及、娯楽の多様化などにより、私たちの集中力はどうしても分散しがちです。
そのようななか、集中して本を読み続けることで、長時間一つのことに集中する能力が鍛えられると考えられています。
また、物語の結末や知りたい情報にたどり着くまでのプロセスが、持続力を養う助けになります。
集中力や持続力は、日々の生活や仕事においても役立つ能力といえるでしょう。
読書習慣を築くための具体的なコツと方法
本を読むことに興味はあるけれど、読書習慣がなかなか身につかず悩んでいる人もいるでしょう。
ここからは読書を継続したい人向けに、時間管理や集中力を保つコツ、読書を楽しむための方法などを紹介します。
①毎日15分から始める
読書を習慣にするためには、まず「毎日少しずつ」が大切です。長時間読まなければ意味がないと思い込まず、まずは1日10~15分から始めてみましょう。
朝の時間や寝る前のリラックスタイムなど、日常の中で少しの隙間時間を見つけることがポイントです。
短い時間でも継続することで、自然と読書が生活の一部になっていきますし、何よりも「続けられている」という達成感がモチベーションにつながります。
②読書ログをつける
読書の内容を記録することも、読書習慣を支えるおすすめの方法です。
読んだ本のタイトルや感想、学んだことなどを書き留める「読書ログ」をつけてみてください。手帳にメモを残したり、アプリを活用するのもおすすめ。
ログをつけることで、自分の成長や読書の成果が目に見える形で分かるので、さらに次の本に手を伸ばしたくなります。
あとで見返して、自分がどんな本を読んできたのか振り返ることも、読書体験を充実させるよいきっかけになります。
③人に感想を共有・SNSでのシェアを活用する
読書の楽しさをさらに広げるために、人と感想を共有したり、SNSでシェアするのもおすすめです。
友人に読んだ本の内容を話したり、SNSに感想を投稿することで、自分の感じたことを整理し、改めて本の魅力を噛みしめることができます。
また、同じ本を読んだ人たちとの交流が生まれることもあり、他の人の感想を聞くことで新たな視点を得ることができます。
インターネット上には、読書コミュニティやレビューサイトも多数存在するので、それらをうまく活用してみるのもよいでしょう。
「後でアウトプットする」意識を持つことで、ただページを読み進めるよりも、集中して深く読みやすくなります。
文章を書くのが好きな人だったら、本の紹介ブログを書いてみるのもおすすめです!
読書に関するよくある疑問・悩み
最後に、ここまで紹介しきれなかった情報を中心に、読書にまつわるよくある疑問や悩みにお答えします。
忙しい日常の中で読書を楽しむためのヒントや、無理なく読書を続けるコツを見つけてみてください!
読書が苦手で続けられない…
読書が苦手な人も意外と多いものです。
ただ、続けられない理由は、読みたい本が自分に合っていないのかもしれません。
無理に長い本や難しい内容に挑戦する必要はありません。比較的読みやすい短編やエッセイ、興味のあるジャンルの本からスタートすると、少しずつ楽しさが見つかることがあります。
また、最初は10分程度から始めてみるのもおすすめ。ゆっくりと自分のペースで読書の楽しさを発見していきましょう。
仕事や家事などに忙しく、ゆっくり本を読む時間がとれない…
忙しい日常の中で読書の時間を確保するのは大変ですよね。
でも、読書は一度に長時間する必要はありません。移動中や休憩の少しの時間、5分でも本を手に取るだけで、習慣にしやすくなります。
リラックスしたいときや寝る前の数分だけでも読むことで、心が落ち着きます。読書は日常のちょっとした楽しみにもなるので、無理せず隙間時間を見つけてみてください。
読書は毎日しないといけないの?
読書は毎日しなくても問題ありませんが、1日数分、数ページでも、確実に読む習慣をつけるのはおすすめです。
少しでも毎日続けることで読書が生活の一部になりますし、積み重ねが大きな成果に繋がります。
もちろん、忙しい日や気分が乗らない日は無理せず、気軽に楽しむことが一番大切です。「毎日読まなきゃ」とプレッシャーに感じる必要はありません
自分に合う本の選び方がわからない!
自分にぴったりの本を見つけられない…。
そんな風に思ったら、まずは興味があるジャンルやテーマを考えてみるのがおすすめです。
また、友人やSNSで他の人が読んでいる・紹介している本を参考にするのもよいでしょう。
ネット購入は便利ですが、書店を訪れてなんとなく気になる本を実際に手に取り、まえがきや目次などを少し読んでみるだけでも、自分に合うかどうかが見えやすくなります。
本を選ぶ工程も読書の楽しみのひとつです!
紙の本と電子書籍はどっちがいいの?
どちらもそれぞれに魅力があります。紙の本はかさばりますが、ページをめくる感触や紙の香りが楽しめ、じっくりと向き合う読書体験が魅力です。
一方で、電子書籍は持ち運びが便利で、いつでもどこでも読みたい本が手元にあります。ただ、人によっては読みづらさや、記憶への残りづらさを感じることがあるようです。
ですので、場面やライフスタイルに合わせて使い分けるのもよいですよ!自分の好みに合わせて選べるのが、現代の読書の楽しさでもあります。
「聴く読書」は効果があるの?
オーディオブック(「聴く読書」)は、移動中や家事をしながらでも本を楽しめる便利な方法です。
耳で聞くことで、視覚では感じにくい新たな気づきを得ることもありますし、気軽に本の世界に触れられるのが魅力です。
とくに忙しい方にとっては、効率的に読書を楽しめる手段としておすすめです。
もちろん、紙の本や電子書籍と組み合わせて、気分やシチュエーションに合わせて楽しむのもいいですよ。
まとめ
現代社会ではデジタルデバイスの普及により読書の機会が減少していますが、読書には脳の活性化やストレス軽減、共感力の向上など多くの効果があります。
読書は、知識や視野を広げるだけでなく、心の豊かさや想像力・共感力などを育む素晴らしい手段でもあります。
忙しい毎日の中でも、本の世界に没頭するとリフレッシュや新たな気づきを得られ、癒しや活力が湧いてくるのも読書の魅力。
ぜひ、あなたの日常に読書を取り入れて、心を満たすひとときを楽しんでいただければうれしいです。