自分の考えや思いなどを言葉にする「言語化」のスキルは、仕事や日常生活で欠かせないもの。
でも、
「頭の中で考えていることをうまく言葉にできない」
「本当に言いたいことが相手に伝わらず、もどかしい…」
モヤモヤとした感情や思いを言葉にすることに、とてつもなく難しさを感じている人もいるかもしれません。
ですが、言語化には“コツ”があります。
思いを言葉に変えるための考え方・方法を身につければ、自分の心の中にあるものをもっと楽に、正確に伝えることができます。
この記事では、「言語化のスキルを向上させたい」「もっと効果的にコミュニケーションを取りたい」と思う方々に向けて、おすすめの本を5冊ご紹介します。
- 自分の気持ちや考え、感情をきちんと言葉にできるようになりたい
- モヤモヤとした心の中の思いを明確な言葉にしたい
- 言語化力を鍛え、コミュニケーションを上達させたい
このような方に参考にしていただければ幸いです。
言語化力アップ・言語化のコツを身につけるのにおすすめの本5選
言語化力を鍛えるのに役立つ、おすすめの本は、以下の5冊です。
- 『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』
- 『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』
- 『言語化力 言葉にできれば人生は変わる』
- 『ひと言でまとめる技術 言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ』
- 『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』
これら5冊の本を通して、自分の心の中にある思いや感情を言語化するコツを学べます。
また、言語化力を高めると、自分自身や他者とのコミュニケーションにおいて、どんなメリットや変化があるのかも掴むことができます。
では、これらの本の特徴について詳しく解説していきます!
①『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』
山口拓朗著『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』をご紹介します。
著者の山口拓朗さんは、出版社勤務を経て、27年間で3700件以上もの執筆や講演、コミュニケーション関連の研修を経験されてきた方。
まさに「人に情報を正しく、わかりやすく伝えること」のプロといえます。
本書において、著者は、言語化力を高めるには、以下の3つのポイントが重要だと語ります。
- 語彙力を伸ばす
- 具体化力を鍛える
- 伝達力を磨く
まずは語彙力を少しずつ伸ばし、「自分が自由に使える言葉」を増やしていこう!というところからスタートします。
ステップ1の「語彙力を伸ばす」では、コミュニケーションで実践的に使える語彙力を高める方法が、数多く紹介されています。
日常生活の中でちょっとした意識を持つだけで、語彙を増やしていくことが可能だとわかります。
ただ、どれだけ豊富な語彙を得ても、言いたいことがふわっとしたままで具体的になっていないと、相手には真意が伝わりづらいものです。
そこでステップ2の「具体化力を鍛える」に進みます。
ここでで学ぶのは、ぼんやりとした話の解像度を高め、もっとわかりやすく、鮮明にするための思考法・パターン。
さらに、ステップ3「伝達力を磨く」では、相手のニーズや状況に応じた、効果的な伝え方のノウハウ、つまり「どうやったらもっと上手に伝わるようになるのか?」を身につけます。
「伝え方」については、プレゼンや業務報告などビジネスの場で使えるものから、自己紹介やSNSといったプライベートで活用できるものまで、さまざまなパターンやテンプレートが紹介されています。
本書はとにかく実践的!
ステップごとに具体的なHowToが紹介されているので、日常生活にすぐ取り入れやすいのがよいと思います。
日常的なコミュニケーションですぐに使える実践的なスキルやノウハウを身につけたい人
②『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』
荒木俊哉著『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』をご紹介します。
本書は、自分の思いを適切な言葉にできず、不都合を感じているビジネスパーソン向け。
著者は本書において、“仕事の評価は「どう言うか」より「何を言うか」で決まる”と語ります。
自分のハッキリしない考え・思いを、きちんと言葉にする力を高めたいと考える方におすすめの一冊です。
毎日いろいろなことを思い浮かべたり、感じたりしているはずなのに、なぜか言葉が出てこない…。
そんな経験、皆さんもあるのではないでしょうか。
本書では、「言葉が出てこない」のは、つまり「普段、自分が感じていることや思っていることが、頭の中でハッキリと言語化できていない」のと同じだと語られています。
では、どうすれば、モヤモヤとした思いを明確にできるのでしょうか?
ここで示されている答えは、普段、無意識のうちにどこかへやってしまう「思い(感じたこと・浮かんだこと)」の一つひとつを意識し、瞬時に言葉にする訓練を積んでいく必要があるということ。
その訓練として紹介されているのが、以下のトレーニングです。
<言語化力アップトレーニング>
1.A4のメモ用紙を用意する
2.「問い」を立てる
3.問いに対して「どう思う?なぜそう思う?」を、芋づる式に次々と書いていく。
※1日3セット実践。1回につき2分の制限時間内で素早く書く。
トレーニングのポイントは、以下の2点。
- 自ら立てた「問い」を強く意識し、思い浮かぶことをスピーディーに言葉にしていくこと。
- 「それってどういうこと?」を自分に投げかけ続け、解像度を上げること。
シンプルですが、このトレーニングを毎日習慣化させれば、漠然とした思いをやり過ごさず、きちんと言葉にする能力が着実に高まるはずです。
最初は少し手が止まるかもしれませんが、思い浮かんだことを「正しい」だとか「間違っている」だとか一切判断せず、どんどん深掘りをしていくのがポイント。
なお、「問い」のテーマ例は本書内にも掲載されているので、読んだ日からすぐに実践できます。
また、本書を読んでトレーニングを続けていくと、日常生活でも、さまざまな物事に自分なりの「問い」を立て、「なぜ?」「それで?」などをいちいち考えるクセをつけることの重要性を感じられます。
それが、言語化力を自然と高めていくためのコツなのだなと、きっと実感できるはずです。
思ったこと・感じたことを明確な言葉にする力を着実に高めたい人
③『言語化力 言葉にできれば人生は変わる』
三浦崇宏著『言語化力 言葉にできれば人生は変わる』をご紹介します。
著者の三浦さんは、広告代理店・博報堂でクリエイターとして活躍されたのち、独立。
2017年にはマーケティングや広告事業などを手掛ける株式会社GOを設立し、代表に就任されています。
テレビやYouTubeなどメディアに出演されることもあるので、ご存じの方もいるかもしれませんね。
尖った斬新な意見やアイデアをズバッと出すスタイルが特徴的だなという印象。
さて、本書の構成は以下の通り。
- 序章 すべては言葉から生まれる – 仕事も人間関係も人生も
- 第1章 「言葉にする」方法
- 第2章 印象に残る言葉をつくる
- 第3章 人を動かす
- 第4章 言葉で未来を指し示せ
- おわりに 僕らが消えたあとに残るのは「言葉」だけ
第1章では、著者の経験をもとにした、思いを言葉にするための考え方や方法論が説明され、第2章からは「いかに力のある言葉を生み出していくか」といった方向に話が進みます。
常に時代の最先端で「広告」や「PR」という分野を専門に、世間を動かすにはどうすればいいのかを考えてきた三浦さんの言葉は、非常にずっしりと響いてきます。
自分の中にあるモヤモヤとした思い、考えていることを世に出すと、他者にどんな影響を与えられるのか―。
本書は、言語化の手法そのものを基礎から学ぶというよりは、「言葉の力」を感じるのにうってつけの一冊。
個人的には、言語化のプロセスやHowToを解説している他の本とあわせて読むのが良いと感じます。
言葉の力を強く信じる著者のポジティブな姿勢に、勇気をもらえます。
言葉を使って「人に想いを伝えること」「人を動かすこと」を積極的に行いたい人にも、きっと参考になる部分が多いのではないかと思います。
言葉の力を実感し、影響力のある言葉を発していきたい人
④『ひと言でまとめる技術 言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ』
「一生懸命に伝えようとしているのに、『話がわかりにくい』『何を言いたいかわからない』と言われがち…」
そんな悩みを抱える方におすすめの本、勝浦雅彦著『ひと言でまとめる技術 言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ』をご紹介します。
著者の勝浦さんは、広告業界のコピーライターとして長年活躍してきた方。
国内外での広告コンテストの受賞歴が豊富で、広告系スクールの講師も務めていらっしゃいます。
本書でわかるのは、モヤモヤとした思いや、考えていること、伝えたいことなどの膨大な情報を、とにかくシンプルに、わかりやすくまとめるための技術。
一生懸命に伝えようとしても思うように伝わらず、ガックリきてしまった経験、皆さんにもあるのではないでしょうか。
本書で語られる「ひと言でまとめる技術」とはつまり、「言葉を短くし、要約した状態で相手に伝える技術」を意味しています。
「言語化が苦手」とされるひとつの理由として、「言葉をたくさん知らないから」「語彙力がないから」という考え方があります。
しかし、勝浦さんは「物事をわかりやすく説明するのは、小学校までに習った言葉で十分」だと話します。
むしろ、情報過多の現代社会では、意見や価値観を含めた選択肢が多すぎるがゆえ、何をどう言えばいいかわからなくなっている人も多いのだと。
大量の情報におぼれないために、「伝えるべき情報は何かを自分の頭で考え、ひと言にまとめていく練習」が必要です。
勝浦雅彦『ひと言でまとめる技術 言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ』
本書で学べるのは、思ったことや伝えたいことがあった際に、「本当に言いたいことは何か」を考え、「どう伝えれば最も伝わるのか」相手の目線に立って考えるための訓練です。
話をひと言でまとめるための「捨てる技術」として、第2章では、たとえば以下のようなことが解説されます。
- 「抽象的な説明」を捨てる →「定量」と「定性」を両輪で伝える
- 「ぼやけた全体像」を捨てる →頭のなかに、伝えたいことの地図を持つ
- 「自分だけ得するトークを捨てる」 →自分も相手も得する一挙両得の伝え方
- 「言い訳」を捨てる →その場のノリで話すときほど伝わらない
また、話をひと言でまとめるための思考と法則として、第3章では、たとえば以下のことが解説されます。
- 「つまりこれってどういうこと?」と考える
- 難しいことを簡単に、簡単なことを伝わりやすく
- 「共感」と「実感」と「快感」で伝える
- 文章をポジティブに変換する
- 相手の頭に映像が浮かぶように伝える
これらを把握した上で、第4章からは、話をひと言でまとめる具体的な技術(法則)を学ぶことができます。
しっかり伝えようとすればするほど、話が長くなり、自分でも何を言いたいのかわからなくなってしまう…。
そんな人は、ぜひ本書の内容を試してみてください。
話をまとめるのが苦手で、「結局、何が言いたいの?」と言われてしまいがちな人
⑤『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』
樺沢紫苑著『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』をご紹介します。
樺沢さんといえば、精神科医であり、YouTubeなどでもよく顔を見かける著名な方。
一人でも多くの人のメンタル疾患を予防することを目指し、多様な方面で活躍されていらっしゃいます。
『学びを結果に変えるアウトプット大全』など、大ヒット本を数多く出されています。
本書は「日常のコミュニケーションで活用できる言語化の方法を学ぶ」というよりも、「自分のモヤモヤとした気持ち、悩みを解決するために言語化の方法を学ぶ」といったスタンスが近いと感じます。
樺沢さんは本書の中で、「言葉は人を勇気づけ、そして自分を勇気づけることができる」と言っています。だからこそ「言葉の魔力」なのだと。
また、人が漠然とした不安にとりつかれてしまうのは、言語化されていない感情に支配されてしまうときだと、樺沢さんは言います。
だからこそ、自分のモヤモヤとした気持ちをハッキリと言葉にすることで、悩みは少しずつ解消していくことができるのだと。
本書では、そんなモヤモヤ・漠然とした不安感を、どう言語化していけばいいのかが、具体的にわかります。
精神科医としての立場から、どうしてもネガティブになってしまう人の心理状態を丁寧に説明したうえで「ネガティブをポジティブに変える言葉」も数多く紹介。
図解が多く、難しい専門用語もないので、スーッとわかりやすく読み進められます。
自分の心の中でモヤモヤとした思いを抱えている人は、本書を読めば、少しでもポジティブな気持ちになれるはず。
モヤモヤとした気持ちや悩みを「言葉の力」で解決させたい人
まとめ:自分の思いを明確な言葉にすることが、伝えるための第一歩
今回は「言語化力アップ」に役立つ本を5冊紹介しました。
言語化のトレーニングに焦点を当てた本、具体的な言語化ノウハウを学べる本、さらには「言語化の重要性」に関する学びを深められる本など、さまざまな本を選びました。
自分の思いや感情を明確にすることは、他人に話をわかりやすく伝えるにあたって、その前提となる大事なプロセスです。
今回の5冊は、言語化力を高めたい方にとって、きっと参考になるところがあると思います。
気になる本があれば、ぜひチェックしてみてください。