今回ご紹介する本は、津田卓也著『なぜか印象がよくなるすごい断り方』です。
「面と向かって頼まれると断れない」
「断ったら嫌われそうで恐い」
「うまく断れなくて、いつもモヤモヤしてしまう」
皆さんは、こんな悩みを抱えていませんか?
気持ちの優しい人ほど断るのが苦手だったりしますよね。
「断ることが大好き!大得意!」という人は、そう多くないのではないかと思います。
とにかくネガティブな印象がつきまとう「断ること」という行為。
でも、断ることによって、むしろ自分の印象がよくなるとしたらどうでしょうか…?
『なぜか印象がよくなるすごい断り方』は、「断ること」に対する、私たちのネガティブなマインドを大きく変えるための気づきを得られる一冊です。
断ることに対して抵抗感を抱いてしまう方には、ぜひチェックしていただきたいです!
『なぜか印象がよくなるすごい断り方』概要
◆タイトル
『なぜか印象がよくなるすごい断り方』
◆著者
津田卓也
◆出版社
サンマーク出版
◆発売日(初版)
2020年1月20日
目次
本書の目次構成は、以下の通りです。
- イントロ
- はじめに
- 第1章 まずは、思い込みを捨てよう
- 第2章 印象がよくなるすごい断り方の基本7ルール
- 第3章 手ごわい相手の対処法
- 第4章 断るか、断らないかはどうやって決めるのか?
- おわりに
頭から読んでいくことで段階的に、無理なく、上手に断れるようになるための考え方・スキルが身につくようになっています。
著者はどんな人?
著者・津田卓也(つだたくや)氏のプロフィールです。
株式会社キューブルーツ代表取締役。日本トップクラスのクレーム対応研修講師。
企業研修の講師派遣と人材育成の会社の代表を務めながら、自ら研修講師として年間200登壇を続ける。中でもクレーム対応研修は、リピート指名率、驚異の100 %で、世代・職位・男女・公的機関・民間企業を問わず、多数の受講者の方々から支持されている。2019年時点で、研修・セミナーの受講生は全国で約11万人にのぼり、研修講師として国内最短での10万人達成になる。フジテレビ『バイキング』など、クレーム対応の専門家としてメディアの出演も多数ある。
「Amazon.co.jp」販売ページ より引用
津田さんは、かつてブックオフコーポレーションにお勤めで、店長職・エリアマネージャー職も経験されていた方。
本書冒頭では、ご自身がなぜ「断ること」をテーマに本を書いているのか、ご自身の体験談を中心に語られていきます。
ブックオフ時代、多忙を極めていたという津田さん。
昔は「まったく断れない人」で、「断らずに何でも引き受けることがいいことだと思っていた」と語っています。
しかし、行きついた果ては働きすぎによる体調の悪化。入院する事態にまでなってしまったのだそうです。
私は生死をさまよって初めて気づいたのです。
断らないことは、自分ではなく、他人の軸で人生が進むことだと。自分の人生を歩むためには断ることが必要だと。
『なぜか印象がよくなるすごい断り方』
その経験が大きなきっかけとなり、「断ること」の重要性を痛感。まずは自分の人生を変えるべく起業を決意。
以後、現在のクレーム研修講師の道に進むことになったのだそうです。
ご自身の体験談にもとづく解説は説得力があり、冒頭から引き込まれました。
『なぜか印象がよくなるすごい断り方』印象に残る3つのポイント
ここでは、とくに印象に残ったポイントを3つピックアップしてご紹介します。
1.ちゃんと断るほうが、信頼される
著者の経歴のところで紹介した通り、津田さんは「クレーム対応」研修のプロです。
そこで10万人以上の人々に研修を行った経験から、以下のことを確信したのだそう。
「クレーム対応が上手な人は、ちゃんと断れる人だ」
自分ができること・できないことをちゃんと伝えながらも、相手の要望に真摯に対応する。
この意識を持って相手と接すれば、最初はクレームを受けたとしても、最終的には「きちんと対応してくれる人」として、むしろ相手の信頼を集めることができる、と語っています。
また、これはクレーム対応のみならず、あらゆる人と人とのコミュニケーションにおいて共通する大切な考え方だと津田さんはいいます。
私は、断ってからがほんとうの人間関係の始まりだと思っています。断れない関係、相手のいいなりになっている関係は、人間関係ではありません。
(中略)
人間と奴隷の関係といっても過言ではないでしょう。
『なぜか印象がよくなるすごい断り方』
「人間と奴隷」とはなかなか衝撃的なキーワードですが、なんでも相手の言う通りに受け入れることが正しいわけではないという考え方は、よく考えればその通りです。
自分を犠牲にせず相手と良好な関係を築いている人は、きちんと「断る力」も持っているのだと、あらためて認識することができました。
2.断れるかどうかは「性格」の問題ではない
第1章では「断れない人の思い込み」が7つ紹介されています。
その1つめ、
断れないのは、そういう“性格”だからだ
これがとても印象に残る話でした。
皆さんは「断れない人」に対してどんなイメージがありますか?
「優しくて、人がよくて、気があまり強くない人」
そんなふうに思う人が多いのではないでしょうか?
私自身もそう思っていたのですが、著者の津田さんは、きっぱりこう伝えています。
断れない、「ノー」を言えないのは、生まれ持った性格ではなく、癖なのです。つい、「はい」と言ってしまう、脳の癖といえるでしょう。
『なぜか印象がよくなるすごい断り方』
そして、この癖が身についた原因は、私たちの成長の過程にあるとの見解を示します。
「他人の気持ちを考えなさい」
「他の人に優しくしなさい」
「他の人に迷惑をかけてはいけません」
このような「他人ファースト」の教えが身体にしみついているのだと。
とくに日本ではアメリカのような「ディベート文化」が根付いておらず、「自分の意見を正しく伝える教育」を受けないまま大人になっている人が多いといいます。
断れない人が多いことも、ある意味では必然なのかもしれません…。
では、どうすれば「ノー」と言えない癖が直せるのでしょうか?
その答えは本書の中に。ぜひ読んで「なるほど!」と納得していただければと思います。
3.断るのが苦手な人ほど、印象よく断れるようになれる
「断れない人の思い込み」には、こんなことも書かれています。
「断るのが苦手」という人は、相手の反応をつい気にしてしまう人です。
(中略)
相手のことを思うからこそなかなか断れない。自分のことより、つい他人のことを考えてしまう、要はとても心優しい人が多いのです。
『なぜか印象がよくなるすごい断り方』
そして、断るのが苦手な人ほど、印象よく断れるようになれる可能性が高いと語られています。
その理由は、相手の気持ちをきちんと考えた上で断ることができるから。
たしかに、いくら思いきり断れるようになったからといって、それによって相手を深く傷つけたり、人間関係が悪化したりするようでは、とても「成功した」とはいえませんよね。
でも、もともと断れるのが苦手で相手の気持ちを配慮できる人なら、正しいメソッドさえ身につければ、相手を不快にさせずに上手に自分の「ノー」の気持ちも伝えられるようになる。
津田さんは、そう説明しています。
上手な断り方のメソッドについては、本書の「第2章」と「第3章」などでしっかりと身につけることができます。
『なぜか印象がよくなるすごい断り方』を読んで気づいたこと・学び
本書を読んで、個人的に「ためになった!」「とても良かった!」と感じたことをまとめてみます。
- 「断れるかどうか」に性格は関係ない。誰でも身につけることができる「スキル」である
- 正しい「断り方」が実践できるようになれば人から信頼される
- きちんと断ることは、自分の人生そのものを大切にするということ
とくに3つめの考え方は第4章で詳しく書かれているのですが、とても胸に響きました。
何かを断るということは、他のものを選ぶということ。
しっかりと断る気持ちを持つことで、本当に自分にとって大切なものが見えてくる。
だからこそ、断ることをおろそかにしたり、後回しにしたりしてはいけないのだなと思いました。
この本を読むと「断ること」へのネガティブなイメージは確実に減るはずです!
『なぜか印象がよくなるすごい断り方』まとめ
『なぜか印象がよくなるすごい断り方』は、私たち人間のコミュニケーションには欠かせない「断る」という行為に焦点を当て、「きちんと断れる人のほうが、むしろ信頼される」という驚きと気づきを与えてくれる一冊です。
タイトルからは軽いHow To本のような印象を抱くかもしれませんが、「断る」ことがなぜ人生において大切なのか、その重みと意味まで考えることができる良書だと感じました。
自分の人生を大切にしていきたい人、周りの人とよりよい人間関係を築いていきたい人は、ぜひ本書をチェックしていただければと思います。